恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
沙和に現時点で交際してる人がいなくて、その上男性が苦手な事もあって持ちかけられた話だろう。
恋人がいると分かれば、沙和のお母さんもきっとお見合いの話を取り下げる。
我ながら名案だとそう提案したが、沙和はまた困ったように微笑んで首を振った。
「砂川君には相談しない」
「なっ、どうして?」
沙和の返事に思わず大きな声を上げかけて飲み込む。
「砂川君に相談したら、きっと恋人のふりでも何でも引き受けてくれて、お見合いしたくないって私の為に力を貸してくれると思う。砂川君、優しいから。
だから言わない。ただでさえ治療の事でお世話になってるのに、これ以上甘えたくないんだ」
「……。」
「それに、いくらお見合いしたって相手が私の事が気に入らない限り結婚には至らないから大丈夫だよ。
とりあえずお見合いの時相手に失礼がないようにしなきゃって思って無理して治療頑張ってたけど、それでも完璧には隠しきれないと思うし。自分に怯えてる人と結婚したい人なんていないよ」