角松 ヤエ 29歳 OL
「あ~~~!セーーーフ!」
目にも止まらぬ光速ステップ&挨拶で滑り込んできた後藤が、
スムージーが入る水筒を出しながら、
両手でパタパタと顔を仰ぎ始める。
後藤、私、サチコさん。
デスクは一列に配置されている為、
座っても尚続くせわしなさは、
もれなく私の視界の切れ端に入る。
「後藤~!いい加減その遅刻グセ直せよなぁ!」
「ごめんなさーい!
明日から頑張りまーす!」
案の定、対面に座るイクメン社員、南出さんから今日もやんわり注意を受けた。
「あ!ヤエ先輩、はいこれっ。」
「・・・??」
「プライドポテトのりしお味、
発見したので買っておきましたよ~!」
いまだにデスクトップの電源を押さない後藤がドヤ顔で差し出してきたのは・・
“KOIKEYA”のロゴがキラリと光る袋。
「・・・・後藤・・・・。」
“ナイス!!”と大声で叫びたい気持ちをグッと堪えて、
口パクで言った後に小さくお礼を告げた。