角松 ヤエ 29歳 OL
早いところ結論を出さなければ・・
「たぬきうどんっ♪たぬきうどんっ♪」
このラインナップでたぬきうどんを即決するアホ後輩のスキップ歩きを横目に、
社員食堂へと向かい閑散としていくフロア。
「・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・。」
“ヤエ待て!早まるな!!”
“お父さん、私はエビカツさんの所に行く・・!”
“ま、待ってくれ!
お父さんを見捨てないでくれ!”
“・・さよなら・・お父さん・・!!”
・・・・・・・よし決めた。
エビカツにしよ。
ようやく立ち上がって食堂へと向かう。
「・・・・・・・・・・・・・。」
この世界には2択が多すぎる。
人生はいつも決断の連続で出来ている。
どうして女の髪は前夜のブロー次第で決まってしまうのか。
どうして「エビカツと豚の生姜焼きの欲張り定食」を誰も発明しないのか。
ついでにどうして「コンソメパンチとのりしお ごちゃまぜ味」をカルビーさんは開発しないのか。
ついでにどうして湖池屋さんは「プライドポテト」をあと30円だけ値下げしてくれないのか。
「・・・・・・・・・・・・。」
そんなこんなで、
貴重なお昼休みの5分を消費して、遅ればせながら社員食堂に着いたところで、
早速A定食への列へと並・・・
あれ?・・札が立てて・・???
・・・・!!?
≪A定食 売り切れ≫
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」
・・・お父さん・・・
・・・・ただいま。
第1話 完