角松 ヤエ 29歳 OL
第2話
第2話
私の周りには、
暴走族も御曹司も副社長もいない
********************************************
「あれヤエさん、Bにしたんですか。
てっきりエビカツにすると思ってました。」
「サチコさん、私がお父さんを裏切るわけないじゃないですか。」
「あ~やっぱりうどんはたぬきですよねぇ~!」
サチコさんと後藤が待つテーブルへと腰掛ける。
私達が座る場所はいつも決まって、
出入り口近くの端っこだった。
「ホント最っっ高でしたよね昨日の『絶つづ』!」
「「あ、ホント?」」
「だって“ヨリ戻して~”って願ってたら、
ホントにヨリ戻してくれたんですもん!」
うどんをズルズルと吸いながら、
私とサチコさんとは対照的に、
後藤は昨日最終回を迎えた連ドラ『絶縁は続くよどこまでも』にご満悦の様子だった。
「でもさ、指輪の伏線が結局回収出来てなかったじゃん。」
「・・・??・・・
なんですか指輪って??」
私もあまり人の事は言えないけど、
後藤はどうやら“話の内容”重視じゃなくて、
主演の出川哲朗のカッコ良さにウットリしたい、“目の保養目的”タイプらしい。