角松 ヤエ 29歳 OL


「やっぱ角松さんと言えばパピコだもんなぁ。」


「あ、そういえば冷凍庫のストック少なくなってたわ。

ありがと、三輪くんのおかげで思い出した。」


もしこれがまだ別れて間もない元恋人同士だったら、

名前で呼んでも全く違和感ないと思うけど、

まぁ7年も経ってるんだからこんなもんか。




「あの頃はあの頃でハチャメチャだったけど楽しかったよね。

半同棲とかもしたりして、ヤエと一日中オセロでバトルしたりして。」


「アハハ、オセロ懐かしいね。」



・・・いや名前でも呼ぶんかい(^0^;)





元カレ君が降りる最寄り駅まで、
久々の再会をたっぷりと懐かしんだけど、

“名前で呼ばれたのが嬉しくてつい自分も「テツヤ」って呼んでみた”

と思われるのもあれだったので、
私はずっと“三輪くん”で押し通した。




ちなみに、こういう人との出会いというのは不思議なもので、

7年間全く音沙汰無かった元カレくんとは、翌週も帰りの電車でバッタリと出会った。


・・とは言うものの、

別にお互いの仕事の話をするだけで特に何か起きることもなく、

というか既婚者の元カレくんと何か起きたら大問題だし、


そんなこんなで、最寄り駅から家までの帰り道で呟く独り言は今日も・・


「あ~どっかに御曹司くん転がってねーかなぁ。」



今日も平凡な一日で良かったと思いながら、帰宅の途を歩いた。






第2話 完










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