角松 ヤエ 29歳 OL
なんてったって先月は10時間も残業した。
いつも平均7時間残業する私が、
先月は+3時間も多く残業した。
これはつまり、
3時間分多く給料が貰えるという事。
「ウィ~南出くん、
ヒック今月もご苦労さんウィ~。」
「はい、ありがとうございます。」
いくら社員食堂が充実しているとはいえ、
やっぱりお金を貰えないことには労働意欲も沸かない。
“あ~先月の私、よく頑張った”
と自分を褒めてあげたい対価が、
明細の左下の“手渡額”の欄に記されていた。
ちなみに、私が給料明細をチェックする箇所は“手渡額”の欄のみ。
その上のほうの欄で、
やたらと引かれている健康保険やら厚生年金やら雇用保険やら所得税やら住民税のところは、
見ないようにしている。
“手渡額”のすぐ上に記されている“総支給額”と“総控除額”は視界に入ってしまうけど、
私が本当はいくら会社から貰っていて、
そのうちいくらなんやかんやで引かれているのかは見なかったことにしている。
大切なのは、働いた分こうしてお金を貰えているという事。
『どんだけ引くねん!!』なんてエセ関西弁は使わないようにしている。