角松 ヤエ 29歳 OL
だからこそ・・私は“今日こそ”と決意した“想い”をサチコさんに伝える。
今朝の満員電車の中で、周りを取り囲むおじさま達の圧に耐えながら決めていた。
「サチコさん。」
「はい。」
ラジオ体操第一のBGMが流れる中、
更衣室を出て職場のフロアへと向かいながら、隣を歩くサチコさんと目を合わせる。
「実はちょっとお願いというか提案がありまして・・。」
「・・何ですか?」
「私達・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「字に起こすと、どっちがどっちのセリフを喋ってるか分かりづらいので、
語頭に相手の名前を呼ぶというのはどうですか?」
「・・・・字に起こす事なんてあるんですか?」
「いや、無い事は無いかもですけど、
一応そういう状況を想定してです。」
「まぁ・・特に反対する理由は無いのでいいですけど・・
あ、ヤエさん。
私は別にいいですけど。」
「あ、サチコさんそんな感じです。」
「ヤエさん、じゃあこれからは名前を呼んでから喋り始めますね。」
「サチコさん、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
・・・よし(・∀・)
若干この提案をするのに勇気がいったけど、サチコさんは何の抵抗もなく受け入れてくれた。
「・・・・・・・ヤエさん。」
「・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・??」
「私達の会話を“字に起こす状況”って・・どんな状況っすか・・。」
「「・・・・・・・。」」
「「・・・プッ・・・アハハハ!」」
“なんじゃその状況”
という口には出さない声が一致し、
お互いツボに入りながらデスクへと座った。