角松 ヤエ 29歳 OL
あ~やばい・・・・
涙腺が緩んできた(;.;)
『日本むかしばなし』を読む後藤にバレないようにハンカチを取り出す。
・・・・ん???
「っていうか後藤なに読んでるのよ。」
「・・・・スッ・・スッ・・・・・
ヤエ先輩っ・・これやばいです。」
・・・後藤の涙腺が・・・
全解放されている・・(^◇^;)
「こんな『桃太郎』初めて読みました!!」
「どういうこと?」
「この作者が書く桃太郎は、
全然内容が違うんですっ!」
“静かにする事”がネットカフェ利用時の鉄の掟かもしれないけど、
ついつい小声で後藤とおしゃべりしてしまう。
どうやら後藤が読んでいた桃太郎は・・
ざっくり言うと、
傍若無人な鬼族の中で、唯一優しき心を持っていた“紫鬼”という一匹の鬼がいて、ある日、鬼に襲われ鬼ヶ島に漂着した人間の夫婦を発見した紫鬼が駆け寄ると、その腕の中に赤ん坊がいて、亡くなってしまった夫婦の為にその赤子を育てていたんだけど、しばらく経ったある日、人間が紛れ込んでいるという噂を聞きつけた他の鬼達が一斉に島中の捜索を始めようとして、泣く泣く桃の中に赤ん坊を閉じ込めて海に放って、それが流れに流れ着いて川で洗濯をしていたお婆さんが拾い上げ・・・・
みたいな話だった。