真冬の桜〜僕らのキセキ〜
「はあ〜……。寒い〜!!」
「真冬のクソ寒い時期に暖房の効いてない教室で日直日誌書かなきゃいけないとか最悪だな」
その日の放課後、愛桜と桜士は寒さに体を震わせながら日直日誌を書いていた。手がかじかんでしまうため、愛桜は何度も手に息を吹きかける。
静まり返った教室では、校庭で部活をする生徒たちの声がよく聞こえてくる。愛桜は手を止めて窓の外を見つめた。白い雪が降っている。
「ねえ、中学校に入学した時のこと覚えてる?あたし、制服のスカートのしつけ糸取るの忘れててさ、みっちゃんに取ってもらったんだよね。その時からみっちゃんとはすごく仲良くなれたな」
「覚えてるよ。しつけ糸ついてるって言われただけなのに大声でお前が騒ぐから何事かって人が集まって大変だったんだから」
桜士も手を止めた。そして二人で中学校でのことを思い返す。
「初めてみんなの前で魔法を使ったのは、一年生の遠足の時だったよね。博物館に行った時に天井から吊るされていた巨大な模型が落ちてきて、魔法を使ってみんなを助けたよね」