真冬の桜〜僕らのキセキ〜

「魔法使いってバレたら利用されるだけかもとか考える余裕もなかったよな。みんながいい人でよかったよ。そのおかげで魔法でみんなを助けることができるようになったし」

「体育祭や文化祭、合唱祭も楽しかったな〜……。みんなで協力して楽しい一日になったよね」

「修学旅行も楽しかったな。みんなで東京の街をブラブラ歩いたよな。お前が迷子になってみんなで探したけど」

授業、友達との思い出、部活、学校行事ーーー。次々と愛桜の中に思い出が浮かんでくる。まるで昨日のことのように鮮やかな思い出に、愛桜の瞳が涙で潤んだ。

「……ッ！」

堪えられなくなり、愛桜はその場に泣き崩れる。同じく目に涙を浮かべていた桜士は立ち上がり、愛桜の背中をさする。

「このままお別れなのかな？あたしたち、何もできないまま離れちゃうのかな」

「愛桜、俺たちは魔法が使えるんだ。その力で何度も人を助けてきただろ」

そう優しく言う桜士に、愛桜は首を横に振った。そして、震える声で言う。