虹色アゲハ
「誰これ…
久保井の女?ターゲット?」

携帯の契約者には、女の名前が出てきた。


「さぁな、一応検索かけてみるけど…」
と、今度はその女を調べたものの。

住所や生年月日等、一般的な情報しか浮かび上がらず。


「時間かけて、もっと詳しく調べとく」

「頼むわね。
それにしても、見るたび思うんだけど…
倫太郎の手ってやたら大きいから、キーボード打ちにくそうよね」

「…っせーな、あんま見んなよ」

「いいじゃない。
別に貶してるわけじゃないのよ?
むしろ、大きな手って男らしくてカッコいいし」

我慢しても、思わず顔が緩む倫太郎。


「ふぅん、それは素直に嬉しんだ?」

「はあっ!?
嬉しくねぇよバーカ。
バカじゃねぇの?」

揚羽はふふっと吹き出した。

「2度も言う事ないじゃない」

「っ…
あぁも帰れよっ、調べとくから」

「はいはい。
頼りにしてるわ、天才ハッカーさん」


倫太郎は浮かない顔で、ふぅと溜息を吐きこぼした。



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