虹色アゲハ
「だとしても、結果的に救ってる。
しかも無償でもいいなんて、そんないい人いないよ」

「いい加減にして!
都合よく妄想するのは勝手だけど、私は復讐にしか興味がない冷酷な人間よ」

そう、いい人なんかじゃない。
そんな人間になったら、あの男に復讐出来なくなる…


「…俺には、悪ぶってるようにしか見えないよ」

その言葉に、思わず揚羽は胸を締め付けられる。


「…とんだ甘ちゃんね、あんたに何がわかんの?」

「じゃあさ…
わかりたいから、今度の日曜デートしよう?」

「はいっ?
…何企んでるの?」

「そりゃあ、彼女にしたいなって」

バカバカしい答えに、冷めた視線を突き刺す揚羽。


「あははっ、そういう冷たい顔もいいね」

「マゾなの?
悪いけど、あんたに構ってる暇はないし、わかってもらわなくて結構だから」

「でも簡単には諦められないんだっ。
本当に信じられるのは、聡子さんみたいな人だろうなって…」

「…バカなの?」

こんなとこじゃ口には出来ないけど、詐欺師なのよ?

「一番信用しちゃいけない人間だから」

「だから、そういうところ。
信じるなって言ってくれる人の方が、逆に信じられるなって」
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