虹色アゲハ
そうやって1人で戦ってるから、支えが欲しくなるのだろう。
辛いからこそ、救ってくれる希望に縋り付きたくなるのだろう。

かつての私のように…
そう重ねて、胸を痛める揚羽。

そしてそんなボロボロの心を、さらにグチャグチャに踏み潰そうとしている久保井に…
絶対許さないと、心火を燃やす。


あぁも焦りたくなかったけど…
仕方ないから、保険を解約する前に強行突破してあげる。



後日、揚羽は…
ハッキングの位置情報で得た潜伏先らしきビジネスホテルで、久保井が帰ってくるのを待ち伏せた。

その到着を前に、深呼吸をして自分を落ち着けると…
盗聴器をオンにして。

それを捉えた倫太郎は、とうとう久保井をターゲットに動き始めたんだと認識する。


「あれ、揚羽ちゃん。
こんなとこで何してんの?」

「久保井さんを待ってたんです」

「俺を?
でもここ、教えた覚えないんだけどな」

「はい。
久保井さんが帰る時、尾行させてもらったんです」

「へぇ、何のために?」

「心当たりがないですか?」

「いや、ありすぎてわかんないやっ」
そう久保井は吹き出した。
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