虹色アゲハ
そうは思っても…

かつては騙す対象にしかなれなかった揚羽に、筋金入りの結婚詐欺師を落とす自信などなく。

その色恋勝負を隠れ蓑に、どう陥れようかと頭を悩ます。


そこでふと、鷹巨の力を借りれないかと思い付く。
そうつまり、証券による投資詐欺を考えたのだ。

大手証券会社のやり手営業マンである鷹巨の知識をもってすれば、さすがの久保井も太刀打ち出来ないだろうと。



そうして揚羽は非通知で、鷹巨を食事に誘い出した。


「それにしても、ほんとに連絡くれるなんて…
やっぱ聡子さんは信用出来るなっ」

「あのね…
たまたま用が出来ただけで、ほんとは連絡するつもりなんてなかったから」

相変わらずお人好しな鷹巨を前に、思わず事実を口走ると。
その本人がふっと吹き出す。

「ほら、そういうとこ。
全く嘘つかない人なんていないんだし、そうやって突き通さないとこが信じれるんだよ」

「あんたがバカすぎて、突き通すのがアホらしくなるからでしょ」

「ほらっ、弱者には優しい」

「あぁもいい加減にして!
やっぱり帰るわ」
席を立とうとした矢先。

「うわごめん!
嬉しくて調子乗りましたっ」
テーブルに手をついて頭を下げる鷹巨。
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