虹色アゲハ
「まったく…
そんなんじゃまた利用されるわよ?」

「だから、利用していいって言ってんのに」
そう返されて…

揚羽は今さらハッとする。

鷹巨に投資詐欺の協力を仰げば…
例のごとく、喜んで一肌も二肌も脱ぐだろうと。
それじゃやってる事が毒女と同じだと。


「そうだ、用ってなんだった?」

「…今してるわよ。
この店来たかったから、付き合ってほしかっただけ」

「え、俺にっ!?
うわどーしよう、すげぇ嬉しんだけどっ」

「いや、たまたまあんたしか捕まらなかっただけだから」

「それでも嬉しいよ!
一歩前進っ?」

「むしろ後退?」

「え、なんでっ!?」

一喜一憂する鷹巨が微笑ましくて、揚羽はふふっと笑いを零した。

久保井の件は難航しそうだけど、まぁいいか…


すると。

「可愛い」
鷹巨がそう揚羽の頭をぽんぽんした。


「…誰にやってんの?
今のでもっと後退ね」

「わあごめん!
あまりに笑顔が可愛いくてっ…
あ、そうだ!
あさって大阪に出張なんだけど、お土産何がいっ?
お詫びになんでも買ってくるよ」
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