虹色アゲハ
すると鷹巨はふっと笑って…

「だったら騙していいよ?」と、今度は頬にキスを落とした。


「もぉっ…
どこまでバカなの?」

「そこはバカじゃないよ。
だって手口なら、わざわざそれを匂わさないだろうし。
騙されてもいいくらい、好きなだけだから」

そう言ってまた唇を重ねると、揚羽もそれに応えて…
鷹巨が腕の中に包み込むと、ぎゅっとそれが返される。


「もっと、抱いてい?」

「んっ…
全部、忘れさせてくれるんでしょ?」


2人の甘い吐息が、再び夜の闇に溶けていく中…



倫太郎は一晩中。

揚羽の安否に不安を募らせつつも…
2人が性的(そういった)関係になっている事も想定し。
切なさに押し潰されそうになりながら、その動向を見守っていた。




そして朝を迎えると…

鷹巨のおかげで落ち着きを取り戻した
揚羽は、起き上がってすぐにハッとする。


もしかして倫太郎は…
自分がまだ帰っていないため、ずっと動向を見守ってくれてるんじゃないかと。

さらに、いくらプライベートとはいえ。
バディの意見を無視して、元ターゲットの家に押し掛けるなんて…
どれだけ心配をかけただろうと。

今さら事の重大さに焦る。
< 139 / 268 >

この作品をシェア

pagetop