虹色アゲハ
そう、1年前にした美人局で…
ヤケになって殴りかかってきたターゲットを倫太郎が返り討ちにして、荷物を物色し始めた時。
まだノックダウンしてなかったターゲットが、逃げようとして側にいた揚羽を思い切り突き飛ばしたのだった。

倫太郎はそれを酷く気にしていて…
以来、美人局の案が出ると「それはやめろよ」と反対していた。


「他の事で挽回してやるよ」

「まぁあんたが悪いワケじゃないけどさ…
あの時のガチギレ演技、すごかったし。
夫役もずいぶん様になってたのに」

演技じゃねぇし…
倫太郎は内心呟く。


「とにかく危ねぇだろ。
また痛い目あったり、俺が現場に入る前にヤラれたらどーすんだよ」

「別にそんな事…
詐欺師に危ないとか笑えるんだけど。
要は、守る自信ないんでしょ?」

「心配なんだよ!」

珍しく声を荒げる倫太郎に、きょとんとする揚羽。


「や、その…
アンタは大事な収入源だし、俺にも口出す権利あんだろ」

「…はいはい。
じゃあとりあえず、ターゲットと接触してから有効な手段を探るわ」



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