虹色アゲハ
寝ていた場合を考慮して、合鍵で部屋に入った揚羽は…

散乱した床と、倫太郎がいない状況に唖然とする。


身勝手な行動に対する、それほどの怒りや…
それでも心配して、また駆けつけてくれたかもしれない事を物語っていたからだ。


そこで、一足遅く倫太郎が帰ってきた。
なんとか揚羽より先に着いたが、駐車時間のロスでギリギリ間に合わなかったのだ。


「つか朝っぱらから来んなよ」

「ごめん…
もしかして、ずっと近くで待機してくれてたの?」

「は?
そんなヒマじゃねぇし」

「じゃあどこ行ってたの?」

「っせーな、腹減ったからコンビニ行ってただけだし」

「何も買ってきてないのに?」

「っ、帰りながら食ったんだよっ」

「じゃあこの部屋は?」

「それはっ…
寝ぼけて転けただけだし…
つかいちいちうるせんだよっ」


「……ごめん」

自分を気遣ってか、必死に誤魔化そうとしている倫太郎に…
揚羽は泣きそうになりながら、散乱したものを片付け始めた。


「あぁも、いいから帰れよ」

「なんで怒らないのっ?」

「は?
…別に、お前が無事なら怒るとこねぇだろ」
そう言われて…

ぼろりと涙が崩れ落ちる。
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