虹色アゲハ
それでも筋金入りの結婚詐欺師からすれば、今までのどこか余裕のない揚羽なら、どうにかなると思ったのかもしれないが…

打って変わった態度や、それが作戦だという状況に、焦りを感じたとしても無理はなく。

ようやく勝算が垣間見えた揚羽は、反撃開始に奮い立つ。


そして、そのためには鷹巨の存在が必要だと。
こんな形勢になれた事や、久保井に動じなくなれた事に感謝しながら…

過ごした時間を思い返して、ふと会いたくなる。



仕事が終わると早速、まだ起きてるかメッセージを送ると…

〈起きてるよ!
てゆうか店の近くにいるよ!〉
すぐにそう返ってきて。

揚羽はふふっと笑いを零した。


〈またストーカー?〉

〈だって連絡くれないし…
こうでもしなきゃ会えないじゃん〉

〈じゃあまたソラちゃんの所に連れてってくれる?〉

〈ごめん、今改装中で休みなんだ。
他の店じゃダメ?〉

揚羽は少し考えて…

〈だったら帰るわ。おやすみ〉
悪戯心で、わざとそう送ると。

すかさず、メッセージが電話に切り替えられる。
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