虹色アゲハ
『えっ…
ちゃんと寝てたよっ?
ただすぐ出られるように、来そうな時間に目覚ましセットしてただけで…
それよりっ、とりあえず上がって?』

またしても様子のおかしい聡子が、心配でたまらなかった鷹巨は…


「お疲れ聡子っ…
なんか、あったの?」
出迎えるなり、そう尋ねると。

「ん…
ごめんね鷹巨、浮気した」
力なく答える揚羽の胸元に…

キスマークを見つけて。
すぐさまぎゅっと抱きしめた。


「聡子は何も悪くないよ?
わかってるから…
辛いのも全部、俺が受け止めるから」

「っ、なんで無条件に信じるのっ?
したって言ってるじゃない…
証拠だってあるじゃない!」

「そんなの、聡子の様子を見れば(無理やりだって)わかるし…
好きだから、何があっても信じるだけだよ」

その言葉に、堪らず揚羽はぎゅっと鷹巨にしがみついた。


「私は詐欺師なのよっ?」

「うん、でもその前に1人の人間だよ?」
そう揚羽の髪を優しく撫でる。


「だけど出来損ないの人間よっ。
簡単に切り捨てられる存在にしかなれなくて…
ずっと詐欺と水商売で生きてきたのに、それですら使いもんにならなくて…
だったら私には何もないっ」
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