虹色アゲハ
優しくて紳士で、実物は写真よりさらに男前で…
こいつに狙われて落ちない女がどれだけいるだろうと。

いかにも結婚詐欺師な完璧すぎる表の顔を、怪訝に思いながら…
揚羽は会釈をして、その場を後にした。


岩瀬はその後ろ姿を…
鋭く睨んで、去っていった。




「やっぱりあの男、胡散臭すぎ。
表の顔晒してどうする気?
とにかく免許証か保険証をどうにか写メって、さっさと終わらせるわ」

定職に就いている詐欺師は珍しく、それで高収入を得ているケースは極めて稀だ。
でも岩瀬にはその表の顔があるため、本人名義で簡単に大金を借入出来ると考えたのだ。


「つか来るなら連絡しろよ。
終わっても連絡ねぇし、アンタ他の場所に向かってたから、ジム行ってたのに」

「ごめんごめん、お腹空いてて。
ても私がこっちに来てたからって、そんな急いで戻らなくても…
合鍵で勝手に入っとくし」

バディを組んでから、揚羽には護身用にGPSが付けられていて…
倫太郎はいつもその動向を見守っていた。
< 17 / 268 >

この作品をシェア

pagetop