虹色アゲハ
「はぁ……」

倫太郎の家で食事の最中、もう何度目かのため息吐く揚羽。


「…なんか、あったのか?」

プライベートな事だと思い、何も訊けずにいた倫太郎だったが…
痺れを切らして問いかける。


「…まぁ、ちょっとね」
心ここにあらずな様子でそう答えると…

少しして、またため息を零した。


「あぁも!言えねんなら人んち来てまで溜息吐くなよっ。
せっかくのメシが不味くなんだろ」

「せっかくのって…
私が作ったんだからいいじゃない」

「だからっ…
そんな時まで作りにくんなよ」

久保井の件が滞ってから、揚羽は3日に1度のペースで作りに来ていた。


「だって作りにでも来なきゃ…」

会う理由ないし、と思いながらも。

「…寂しいでしょ?」
そう続けると。


「はあっ!?誰がだよっ。
むしろプライベート邪魔されるこっちの身にもなってみろよっ」

倫太郎は図星を誤魔化すため、つい言い過ぎてしまう。


「…あっそ、そんなふうに思ってたんだ?
じゃあもう来ないわよ。
プロポーズされたし」

途端、むせて吹きこぼす倫太郎。
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