虹色アゲハ
言われてみれば、と思いながらも…

「…まさか、だって相手は何もかも身バレしてるのよ?」

「それがなんだよ。
実際、表の顔で詐欺してるヤツもいるし。
まだあの女(毒女)と繋がってたら、また捨て駒やってる可能性もあるし。
アンタ金あるし、結婚が難しい仕事だし?1度はあの男に騙されてるし…
絶好のカモじゃん」

「だからって!この私がお金の無心に応じると思うっ?」

「金目的じゃなかったら?
例えば戸籍とか、アンタの情報が欲しかったら?
それで復讐企んでる可能性だってあんだろ」

でも鷹巨に限って…
そう思った瞬間、青ざめる。

まさしくそれは、この前の柑愛や赤詐欺被害者の考えだからだ。


「しっかりしろよ、オマエ騙す側だろ」

「そうだけどっ…
私だって人間よ?
幸せを夢見ちゃいけないのっ?
愛されたいって思っちゃいけないのっ!?」
愛なんて信じてなかったはずなのに、思わず感情的になる揚羽。

「だったら!」

俺が誰よりも愛してやるよ!
慌ててその言葉を飲み込んだところで、ハッとする。

同じ犯罪者の自分じゃ…
こんな何もない自分じゃ…
鷹巨が与える幸せの足元にも及ばないと。
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