虹色アゲハ
「だったら…
なんでため息ばっか吐いてたんだよ。
幸せな夢見てたんじゃねぇのかよ」

「それは…
鷹巨の人生考えたら、別れるべきだと思ったし」

その事で久保井の件まで、また動けなくなったため。
どうしたらいいか思い悩んでいたのだ。

一方、倫太郎は…
鷹巨のために身を引こうとするほど、そいつが好きだったのかと。
その事でため息を繰り返すほど、結婚したかったのかと。
ショックで胸が八つ裂かれる。


「…そこまで想ってんなら、いっそプロポーズ受けてやれよ」

「はあっ?
意味わかんないんだけど…
あんたが今結婚詐欺って」

「そーだけどっ…
そんな偽物の気持ちで、そこまでオマエの気持ち奪えるとは思えねぇし…
もし詐欺じゃなかったら、こんないい話ケるとか勿体ねぇだろ」

「…なにそれ。
てゆうか…
倫太郎は、私が結婚してもいんだ?」

「…は?」
思わぬ問いかけに、大きくした目を揚羽にぶつけた。


いいわけねぇだろ!
つかそれよりも…

「…なんで俺に訊くんだよ」


「なんでって…
バディだからよ。
私が足洗ったら困るでしょ?」

騒いでた胸が、一気に鎮まる倫太郎。
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