虹色アゲハ
「でもそんな生き地獄味あわせたくないしっ…
望に組織の仕事は無理だよ」

「やってみなきゃわからないじゃないっ」

「わかるよ。
望は、人の痛みがわかる優しいコだから」

「勝手な妄想しないで!」

「じゃあ聞くけどっ。
信じて保証人になったせいで、逃げた彼氏の借金背負わされたコを…
風俗で壊れるまで働かして、使えなくなったら臓器売って、最後は入らせてた死亡保険で金取れるっ?」

さすがにそんな事、出来るわけないと…
望は思わず言葉を失う。


「そんくらい余裕でこなしてかないと、到底見逃してもらえないよ。
そのコが可哀想じゃなくて、そのコでいくら稼げるかしか考えないようにならないと」

「他の方法で稼いでやるわよ」

「他の方法って?」

「詐欺よ。
今まで隠してたけど、私も犯罪者なの」

途端、仁希はぷはっと吹き出した。


「まぁ確かに、水商売も詐欺みたいなもんか。
そんでお偉いさんの弱み握って、恐喝でもしちゃった?
そんなおままごとじゃ通用しないよ」

「待ってて!」
馬鹿にされてカチンときた望は、そう言い捨てて寝室に向かった。
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