虹色アゲハ
そこだけは捨てられない望だったが…

もうすでに倫太郎とは、別の道に進んでいて。
なにより、そんな危険な世界に関わらせたくなくて。


「捨てれるに決まってるでしょ?」

「っ、望っ…
……ありがとう」


そうして2人は、逃亡計画を話し合うと…



「疲れたでしょ?
すぐお風呂溜めるわね」

「や、シャワーでいいよ。
けどもうちょっとゆっくりしたいから、先に入ってきなよ」

そう言って仁希は、ネックレスを外してあげようとする。


「綺麗な首…
またキスマーク付けたくなる」

「あの時は胸元だったじゃない」

「うん、さすがに首は服で隠しにくいかなって」

「一応考えてたんだ?
でももう好きに付けていいわよ?」
寂しくなった首元をくるりと翻して、仁希を見上げた。

「あんな嫌がってたくせに?」

「あの時は恨んでたからっ…
仁希こそ、あんな強引だったくせになに遠慮してんの?」

「そりゃあショックで出来なくなるよ。
キスでも泣かれたしさ?」

その割には小馬鹿に笑ってたじゃない…
そう思ってすぐ、それがショックを物語る反応だったと思い出す。
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