虹色アゲハ
「それで、当分の生活はなんとかなるだろ?」

「…うん、ありがとう。
でももうあのマンションは解約しようと思ってる」

「…じゃあ、このままここに住むか?」

「いいの?」

「俺が面倒みるっつったろ?
好きなだけ居ろよ」

「っ…
そんな事言ったら、もう出て行かないかもしれないわよ?」

「……ん、そうしろよ」

見つめる切れ長の大きな瞳が、切なげに愛しげに形どられ…

望はぎゅうっと胸を締め付けられる。


そこでハッと、甘い雰囲気を打ち破る倫太郎。

「とにかく、オマエがもう少し元気になったら仕事探すよ」

「えっ、じゃあハッカーの仕事はもうしてないのっ?」

「まぁ…
つかいい機会だから、俺も足洗おうと思って。
これからはカタギんなって働くよ」
そう言われて。

やっぱり自分のせいで、その仕事に悪影響を及ぼしたんだと…
ショックを受ける望。


「そんな顔すんなって。
オマエのせいじゃねぇから。
むしろ、オマエのおかげ?
俺もいつまでも、犯罪者やってらんねぇし」

「なら、いいけど…
じゃあ私も探す。
…いいかげん、前向かなきゃね」

その言葉に、嬉しくなる倫太郎。
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