虹色アゲハ
面会室に現れた鷹巨は、望の姿に目を見開いて…
すぐさま、申し訳なさそうに顔を歪めた。

望もまた、鷹巨を追い詰めたのは自分だと…
似つかわしくない場所で憔悴している姿に、心を痛めて顔を歪めた。


「ごめん…」
先に鷹巨が、泣きそうな声で謝罪を漏らした。

「ううん、私のせいだから。
なのに色々黙っててくれて…」

「聡子は何も悪くないよ」

「でも私が裏切ったから!」
「違うよ」
被せるように遮ると。

「俺が勝手に勘違いして…」
その言葉を前置きに、真相が語られた。


「あの夜。
いつまで待っても聡子は来なくて…
連絡しても繋がらないし、次の日には解約されてたし。
なんかあったんだって、俺心配で心配でっ…
でもマンションしか調べようがなかったから。
そこに車停めて、現れるのを待ってたんだ」

そう、店の名前も源氏名も知らなかったため。
そこで待つのが一番有力だったのだ。


「そしたら、前方の駐車場に入ってくのを見つけて。
だけどボロボロの状態で、ヤバそうな男に引きずられてるように見えたから…
俺てっきり、(組織を)やめれなかったんだと思って。
その事で処分を受けてるんだと思って…
なんとかしなきゃって、後つけたんだ」
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