虹色アゲハ
「そんなの決まってるよ。
裏切られてもいいくらい、愛してるから…
だから何度裏切られても、全部嘘でも、信じたいんだよ」

その瞬間、ぶわりと涙が溢れ出し…

鷹巨の言葉が、心に深く深く突き刺さる。


それは、同じ目に遭った望が持てなかった感情で…

そこまで愛してくれたのに!と。
なのに踏みにじる事しか出来なかったと…
狂おしいほど罪悪感に襲われる。


そして、愛とは信じられるかどうかではなく。
信じたいという気持ちなのだと、心が洗われるような衝撃を受けていた。


「ごめんなさいっ…
鷹巨とは、もっと早く…
出来る事なら、ずっと昔に出会いたかった」

そしたらきっと、その純真な愛に絆されて…
復讐にも犯罪にも、手を染めなかったはずなのにっ。


そう、罪なんか犯さなければ…
仁希はそれを回収する必要はなく。
倫太郎もこんな目に遭う事はなく。
鷹臣の人生も狂わせずにすんだのにと。

途轍もない後悔が、これ以上ないほど押し寄せる。


「っっ、ありがとう…
聡子にそう思ってもらえるだけで、俺はもう十分だよっ。
…けど、彼の事は本当にごめん。
俺も出来る事なら、状態を代わりたいくらいだけど…
せめて、1日でも早く回復するように祈ってる」
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