虹色アゲハ
仕事が終わると、揚羽は逃げるように倫太郎の家に押しかけた。
「ねぇ今日も泊めてぇ〜?」
「酒くさっ…
アンタ酔ってんの?」
「そうヤな客が来てさ〜」
「だからって珍しいな…
そんなヤな奴?」
「……そ。
殺したいくらいにね…」
「はっ?」
ぼそりと吐き出された言葉に耳を疑って、聞き返した直後。
靴を脱ぎ終えた揚羽が、よろけて転けそうになる。
「おい大丈夫かっ?」
すかさず倫太郎が支えた、次の瞬間。
揚羽はその胸にぎゅっと縋り付き…
倫太郎は心臓が止まる思いで目を見開いた。
無意識のうちに、倫太郎が拠り所になっていた揚羽は…
遣り切れない感情とアルコールに侵されて、思わず甘えてしまったのだ。
そして倫太郎は…
抱きしめたくても出来なかった存在が、触れることすらままならない存在が、自分にしがみついてる現実に。
鼓動を高鳴らせながら、ぎゅっと抱き返そうとして…
その手を止めた。
でも抱きしめたくて…
抱きしめずにはいられなくて…
だけどバディじゃいられなくなりそうで。
ぐっと拳を握って、必死にその衝動を押し殺した。
「ねぇ今日も泊めてぇ〜?」
「酒くさっ…
アンタ酔ってんの?」
「そうヤな客が来てさ〜」
「だからって珍しいな…
そんなヤな奴?」
「……そ。
殺したいくらいにね…」
「はっ?」
ぼそりと吐き出された言葉に耳を疑って、聞き返した直後。
靴を脱ぎ終えた揚羽が、よろけて転けそうになる。
「おい大丈夫かっ?」
すかさず倫太郎が支えた、次の瞬間。
揚羽はその胸にぎゅっと縋り付き…
倫太郎は心臓が止まる思いで目を見開いた。
無意識のうちに、倫太郎が拠り所になっていた揚羽は…
遣り切れない感情とアルコールに侵されて、思わず甘えてしまったのだ。
そして倫太郎は…
抱きしめたくても出来なかった存在が、触れることすらままならない存在が、自分にしがみついてる現実に。
鼓動を高鳴らせながら、ぎゅっと抱き返そうとして…
その手を止めた。
でも抱きしめたくて…
抱きしめずにはいられなくて…
だけどバディじゃいられなくなりそうで。
ぐっと拳を握って、必死にその衝動を押し殺した。