虹色アゲハ
日曜。

揚羽はさっそく、鷹巨と遊園地に来ていた。


「聡子さん、次あれ乗りませんっ?」

「えっ、あの落っこちるやつですか?
無理です無理です、死んじゃいますっ」

「大丈夫ですっ。
僕がこうやって、手を繋いどくんで」

それ何の解決にもならないから!
見るからに怖そうなフリーフォールを前に、本気で慄く揚羽。


「ふっ、可愛い聡子さん」

繋いだ手を、思わずぎゅっとする揚羽に…
優しく笑う鷹巨。


「いえもう、ほんとに…
乗った事がないので、どうなるかわかりませんっ」

「絶叫系、苦手なんですか?」

「まぁ…」

というより、まだ身長的に乗れなかった子供時代にしか来た事がなかったため、単純に未知への恐怖だった。


「でも試しに乗ってみましょう!
意外にスカッとするかもしれないですよっ?」

揚羽は、この時ほど詐欺を面倒だと思った事はなかった。



だけど…

「もうあのスカッと感たまりませんっ。
もう1回乗りませんかっ?」

「あははっ、いいですよ何度でも」

すっかり虜になってしまう。
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