虹色アゲハ
そんな週末。
田中専務に連れられ、再び久保井が来店した。


「今日は柑愛ちゃんのためにありがとうございます」

「いやいや、久保井くんのためでもあるんだよ。
柑愛ちゃんみたいな可愛い子に見初められるなんて、男冥利に尽きるじゃないか」

「あら専務、私じゃ役不足だったんですね?」

「いやいやっ、僕だってもちろん男冥利に尽きるよぉ?」

「ほんとですかぁ?
ぽろっと本音が出ちゃった感じですけど」

「おいおい信じてくれよ〜、僕はこんなに揚羽ちゃんの事が好きなのに」

「じゃあ、おねだり聞いてくれますかぁ?」

そう言って揚羽は、2対2同伴の約束に漕ぎ着けた。

久保井に接近するためでもあったが…
同伴にはノルマがあり手当も付くため、協力してくれた柑愛に出来る限り返そうと思ったからだ。


ところが久保井は、そんな見返りを上回る事を言い出した。

「その同伴も楽しみだけど、次は柑愛ちゃんと2人っきりで同伴したいな。
そのためにも、しばらく毎日通おうかな」

まだ指名の少ない柑愛にとって、それはとても嬉しい申し出だったが…
揚羽の手前、困惑してぎこちなく喜んだ。
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