虹色アゲハ
だけど。

「安藤さーん」
「あ、はーい」

看護婦が呼んだ自分の苗字に、返事をする揚羽を見て…
思わず嬉しくなる。


「個室頼んでたんだけど明日空くみたい、ってなにニヤケてんの?」

「別にニヤケてねぇし」

「うっそ、今あの看護婦さん見てニヤケてたじゃない。
巨乳だったもんね」

「はっ?
バカじゃねぇの」

「まっ、そんな元気があるなら大丈夫か」

「あぁも寝るから帰れよ」
そう言って布団をすっぽり被る倫太郎。

「はいはい。
あとで保険証とか必要なもの持ってくるから、ゆっくり休みなさい」


倫太郎の名前が本名で、ちゃんと保険に入っていた事には驚いたものの。
そんな情報を当たり前のように晒して、自分に管理させてくれる事を嬉しく思いながら…

悪態をつく姿にほっとして、揚羽は病室を後にした。



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