虹色アゲハ
「彼女、ほんとに酷い詐欺師なのかな…」

‪そう思っていた鷹巨は、犯行が延期になった事をどこかほっとしていた。‬


「騙されちゃダメよ。
そう思わせるのが手口なんだから。
その証拠に、手料理なんて口実で美人局を仕掛けようとしてるじゃない。

言ったでしょっ?
その美人局で兄は、母の治療費を奪い取られて…
共犯の男から車椅子の身体にされたんだからっ…
絶対に許せない!」

「ん…
俺が必ず、敵を取るよ」

泣き出す彼女を、ぎゅっと抱きしめる鷹巨。


「ありがとうっ…
鷹巨がいなかったら、私…」

その時、急ブレーキの音とともにドンとぶつかる音がした。


すぐさま2人は、窓から外の様子を見ると…
目の前の道路で、車が電信柱にぶつかっていた。


「うわ、けっこう酷いな…
運転手出て来ないけど、救急車呼んだ方がいいのかな?」

「誰かが呼ぶでしょ。
それより鷹巨、延期したのは何かの手口かもしれないから気をつけてね?
何度もゆうけど、手っ取り早く"好き"とか言っちゃダメよ?
訴えにくくなっちゃうから」

それは、揚羽も同じくだった。
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