虹色アゲハ
そしてヤクザの方は、その女が少し前まで交際していた相手で…
揚羽が以前、美人局の恐喝役に雇った男でもあった。

保存している盗聴器のデータでは、組名を出して脅していたため。
恐らくそれを手掛かりに、そのヤクザを突き止め…
近付いて深い関係になり、揚羽の情報を知り得たのだろう。

兄の介護に疲れていたようで、その頃から友人に復讐をほのめかしていたそうだ。


「なにそれ、逆恨みもいいとこ…
じゃあこの依頼者の情報は何?
ちゃんと調べたんじゃなかったの?」

「その情報に間違いはねぇよ。
でも実物を確かめにいったら、その女と別人だった」

「つまり、成りすましって事…」
揚羽はやられたといったふうに、片手で顔を覆った。

「そ。
本物がSNSで顔晒してないのをいい事に、ご丁寧に成りすましアカウントで自分の顔晒してたってワケ」

やってくれるわね…
こっちは本気で心配してたっていうのに。


「じゃあ今回のターゲットはその女と共犯…なワケないか。
片方が完璧に身分詐称してんのに、自分だけ表の顔晒さないわよね。
ってことは、鷹巨(その男)も騙されてるって事?」
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