虹色アゲハ
「さぁな。
けどそいつら付き合ってる感じだったし、女のために一肌脱いだんじゃね?」

「だからって、身分晒して復讐詐欺の片棒を担ぐ?
下手したら、誰もが羨むような人生を犠牲にするかもしれないのに…
それじゃ完璧エリートじゃなくて、ただのバカじゃない」

「…バカでも、マジで惚れたら何でもするだろ」

まるで自分の事のように、 切なげに呟く姿に…

「倫太郎も?」
思わずそう訊くと。


「…するよ、なんでも」
その切れ長の大きな目で、じっと見つめられ…

ドキリと心臓が跳ねた揚羽は、誤魔化すように話を切り替えた。


「でもよく調べたわね。
女遊びに限らず、ちゃんとやる事やってたんだ?」

「ったり前だろ。
つか女遊びとかしてねぇし」

むしろ、どんだけ大変だったと思ってんだよ…

「別に隠さなくてもいいじゃない。
仲良くホテルから出てきたくせに」

「っ、あれはっ…」
見られてたのかと、途端動揺する倫太郎。

だけど…
揚羽の役に立ちたくて、情報のために行為に及ぶしかなかったとは言えず。


「まぁ、アンタと違って若いし?」

「…殺されたいの?」
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