虹色アゲハ
ハッキングで得られるのは、コンピュータやネートワーク上の情報だけで…
そこに上がってなければ何も掴めない。
そういった場合や今回のような場合、倫太郎は足で稼いだり体を張って情報収集に奔走していた。

そのため普段から、空いた時間は裏の情報網作りに動いていた。
もちろん、揚羽の動向をチェックしながら…


「とにかく。どっちにしろ表の顔は、美人局用に晒してたんじゃね?
自分の兄貴がそれでヤラれたから、その手でくると思ってんだろ」

「なるほどね。
美人局ならその表の顔に食いつくだろうし…
表の顔なら正々堂々訴えれるし、それをネタに恐喝もしやすいもんね」

事実食いついた揚羽は、その時倫太郎が反対しなかったら危ないところだったと身の縮む思いになる。

さらに、訴えるにはそれなりの証拠が必要なため…
鷹巨の家には防犯用と称して、すでに監視カメラや盗聴器等が仕掛けられていたに違いなくて。

あの時作戦を実行していたら、たとえ美人局を行わなくても…
顔を晒した犯行の様子が、一部始終記録されていただろうと。
大きく溜息を吐かずにはいられなかった。
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