虹色アゲハ
そして今も…
倫太郎の情報収集がなければ、またその術中に向かうところだった。


「ほんと、頼りになるバディね」

探偵でもないのに、ここまで調べ上げるなんて…
きっと身を粉にして暑い中動き回ってくれたんだろうと、しみじみ思う。


「っ今さら?」
嬉しくてニヤけそうになった倫太郎は、乾いた笑いでそう誤魔化す。

「いつも頼りにしてるわよ。
調査おつかれさま」

すると何か思い出した様子で、照れくさそうに視線を流す倫太郎。

その様子を目にした揚羽も…
あの独り言が聴かれてたんだと、思い当たって恥ずかしくなる。


あぁも、なにこの沈黙…
ガラにもない事するんじゃなかった。


「それより、体調は大丈夫なの?
病み上がりなのに、けっこう無理したんじゃない?」

「余裕だろ」

「ならいいけど…
お腹は空いてるでしょ?
約束してた生姜焼き、作ってあげる」

「いつの話だよ…
つか材料ねぇし」

「冷凍室見てないの?
ていうか、あんたがずっと留守にしてたから作れなかったんでしょ」

そのため、作りにきた揚羽は材料だけ置いて帰っていた。
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