虹色アゲハ
もしそうだったら、鷹巨はどれだけショックを受けるだろう…
揚羽は胸が痛んだ。


「…ったく、だったら俺も同行する」

いつもは近くで待機している倫太郎だったが、そう妥協すると。


「美人局じゃないんだから、倫太郎(切り札)を不必要に晒したくないの」
と言い逃れる揚羽。

そう、身分を詐称してない倫太郎を晒すわけにはいかなかったのだ。
復讐するような相手には、尚更。


「だからってアンタになんかあったら意味ねぇだろ。
変装してでも側で守るからな。
じゃなきゃその案には乗らね」

「…じゃあ距離を空けて話すから、倫太郎はすぐ側で隠れててよ」

「そんなんでいざって時に間に合うか?」

「間に合うわよ、倫太郎なら。
だって私たち最高のバディでしょ?」

「言ってろよ」
倫太郎は嬉しそうに笑って。

「けど今度こそ、命懸けで守ってやるよ」
当たり前のようにさらっと零した。


命懸けでって…
その言葉に揚羽はドキリとしながらも。
「大げさね」と笑って流した。



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