虹色アゲハ
ところが、戻って来た鷹巨は…

「改めて、誕生日おめでとうございます」
豪華なフラワーアレンジメントを差し出して来た。

ふわりと、甘くて残酷な匂いが鼻をかすめる。


「ブッドレア、好きでしたよね?
だからプレゼントしたくて」

「え…
まさかそのためにここへ?」

「はい、サプライズしたくて」

別の意味で驚いたわよ…
あんた復讐する気あんの!?

「すごく、嬉しいです…
泣きそうなくらい、嬉しいです」


吐きそうなくらい、嫌気がさすわ。

鷹巨に見送られた後、その匂いが立ち込める車内でそう毒づく。


結局、鷹巨の行動から…
毒女は来れないのかもしれないと判断した揚羽は、日曜に決着をつける事にしたのだ。

さすがに、何が仕掛けられてるかわからない毒女の家に、乗り込む気はさらさらなかった。


偽装住居に着くと、すぐにそのフラワーアレンジメントを捨てようとした揚羽だったが…
あまりに豪華で目立つため。

そのマンションに聡子が住んでると思っている鷹巨が、何かのきっかけで通った時。
捨てたのがバレてしまうと考え、渋々次のダミーマンションまで持ち越す事にしたのだった。



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