虹色アゲハ
「だってそーだろ?
その美貌で、人目につく水商売でけっこう稼いでんのに、わざわざリスク負って犯罪に手を染めてんじゃん」

なるほどと合点しつつも、ふと思う。
じゃあそのターゲットも私みたいに、何かを抱えているんだろうかと。


だとしてもバカなの?
揚羽は鼻で嘲笑った。

自分と違って、誰もが羨むような人生に身を置きながら…
それを無防備に危険に晒しているからだ。


「まぁ私は化粧で誤魔化せるからね」

「そっか、アンタ顔面詐欺師でもあったよな」

「あんた殺されたいの?」

すると倫太郎は、楽しそうにハハッと笑う。


クソ生意気だけど、その笑顔は可愛いのよね…

ぶっきらぼうな6コ下の天才ハッカーは、時折無邪気な笑顔を見せる。


だけどその風貌は、長身で男らしい体つきで、やんちゃな雰囲気をまとっていて…
見た目通り喧嘩が強く、揚羽のボディガードも兼ねていた。

バディになったのは2年半前。
まるで道でも尋ねるかのように声掛けられたのだった。



ーーー
ーー


「アンタの黒詐欺、混ぜてくんない?」

当然、揚羽は警戒する。


「…何者?」

「天才ハッカー、ってトコかな」
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