アテナ・イェーガー〜デート、のちにキス〜
「そのドーナツも可愛いね！」

「ナタリーらしいな」

ロネとネイサンはそう言い、椅子に座る。そして三人は学校のことなどを話しながらドーナツを食べ始めた。

「おいしい！」

一口食べた刹那、ロネは口を軽く押さえてそう言った。可愛らしい見た目とは違い、味はくどすぎない甘さとなっている。

「でしょ？可愛くて味もおいしいなんて最高！また来たいな〜」

ナタリーがロネに向かって笑いかける。ロネはまだ手元にあるドーナツを見つめた。可愛らしいドーナツを前にして頭に浮かべるのは、立ち入ることを禁じられた森で出会った美少女のアテナ・イェーガーのことだ。

「アテナも甘いものが好きなのかな？」

アテナと会う時、ロネはおやつなどを一緒に食べたことはない。アテナのことで知っているのは、森で独りで生きていること、薬草学に優れていること、そしてこの世界を支配しようとした魔女の娘かもしれないということだ。

ロネはアテナに殺されそうになった。しかし、キスで壊れそうになっていたアテナの心を救った。その時、彼女は初めて涙を見せてくれたのだ。
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