アテナ・イェーガー〜デート、のちにキス〜
「そういえば、あの日以来忙しくて森に行けてないな……」

ロネの胸に寂しさが広がっていく。そして、今すぐにアテナに会いたいという思いがあふれ出してきた。ロネは立ち上がり、ドーナツを買う。

「ロネ、家族に買っていくのか?」

そうネイサンが訊ねる。ロネは首を横に振った。

「大切な人に食べてほしくて」

「えっ!?大切な人って誰?ロネに彼女がいたの!?」

目を輝かせながらナタリーが訊ねる。ロネは「違うよ」と苦笑しながらドーナツの代金を払った。アテナとは恋人という関係ではない。しかし、ただの友達でもなさそうで、ロネとアテナの関係に名前はない。それでも、ロネにとってアテナは大切な人の一人だ。

「じゃあ、また明日!」

「バイバ〜イ!」

「明日また学校で会おう!」

家の方向がバラバラのため、三人はドーナツ屋の前で解散することになった。二人に背を向け、ロネは森へと走る。幸いにも、ドーナツ屋から森までは近い。
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