アテナ・イェーガー〜デート、のちにキス〜
「ど、どうしたの？」

ドキドキしながらロネは訊ねる。アテナは一瞬だけ微笑んで言った。

「懐かしい味なんだ。あの時みたいに、大切なことを何か思い出せるような気がする」

「あの時？大切なこと？」

「私にお前がキスしてくれた時、優しく私に笑いかけてくれる人がいたことをほんの少しだけ思い出した。あの時と同じ感覚がする」

キスと言われ、ロネは一気に恥ずかしくなる。あの時、ロネは何度もアテナにキスをしたのだ。

「あ、あの時は本当にごめん！！キスなんて嫌だったよね？本当、ごめんなさい！！」

好きでもない人とのキスなんて最悪だ。ロネは慌てて謝る。しかし、アテナは嫌そうな顔は見せなかった。

「いや、不思議と嫌ではなかった。あのキスのおかげで私は元に戻れた。あ、ありがとう」

アテナのその言葉に、ロネは胸を高鳴らせる。嫌ではないと言ってもらえたことに安心して、アテナの赤い唇を見てまたその唇に触れたくなってしまう。

ロネの中で、ある思いが大きくなっていった。
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