アテナ・イェーガー〜デート、のちにキス〜

ロネはクリームパンを、アテナはメロンパンを手に取り食べ始める。アテナの頰が緩む瞬間をロネは目を焼き付けた。

「おいしい？」

ロネの言葉にアテナはコクコクと何度も頷きながらメロンパンを食べる。その様子は小動物のようで可愛らしい。ロネは微笑んでしまった。

「こっちもおいしいよ。食べる？」

ロネがクリームパンをちぎって渡すと、アテナは「ありがとう」と言いながらクリームパンを口に入れる。そして「おいしい」と呟いた。

「森の外には、おいしい食べ物がいっぱいあるんだな」

アテナがどこか寂しげに言う。ロネは我慢できなくなり、アテナの手を取った。

「じゃあさ、一緒に街に行こうよ！色んな場所を紹介したいんだ。おいしいものを食べて、たくさん街で遊ぼうよ！」

ロネの言葉に、アテナの目が一瞬見開かれる。しかし、その顔はすぐに迷いに包まれた。

「嬉しいけど、私は……」

アテナは、自分があの魔女の娘だとわかっている。そのせいでこの森に住んでいるのだ。ロネは「大丈夫！」と力強く笑う。