月が綺麗ですね
虹が綺麗ですね
ザアザアと降り続いている雨は、まるで私の心を映しているような気がする。なんて、どこかの小説にありそうなことを思ってみた。

私はこの会社で働くごく普通の会社員。キャリアウーマンという名にはほど遠く、むしろミスをしてしまうことが多いかもしれない。

「はあ……」

会社近くのスタバでコーヒーを飲みながら、私はため息をつく。これでため息は何度目だろう。頭の中には、まだ課長の怒鳴り声が残っていた。

『君は本当にやる気があるのかね!!数日前にも同じミスをしただろう!!何度同じことをすれば気が済むんだ!!』

課長が怒ってきたのは、私のほんの些細なミスだった。売り上げの計算をミスしてしまったという誰でもあるようなもの。しかし、ゴルフで負けてイライラしていた課長はみんなの前で見せつけるように私を怒鳴り散らした。そのことで、未だに心が沈んでいる。

怒鳴り声を聞いている間、雨音なんて全く耳に入ってこなかった。ただ周りからの哀れそうな目が痛くて、怒鳴り声が怖くて、コーヒーもおいしいと思えない。
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