策士な御曹司は真摯に愛を乞う
「なのに、どうして。どうして君は、俺に愛されたことまで忘れてしまったんだ!?」
夏芽さんは、ブルッと身を震わせた。
わずかに腕の力を緩め、美しいラインの顎を傾けて、私に顔を寄せてくる。
「っ……!」
息をのむ間もなく、やや乾いた唇が重ねられた。
尖らせた舌先がすぐに唇を割って入ってきて、呆気なく追い詰められる。
なにかがゾクゾクと背筋を駆け抜ける感覚に震え、私は彼の腕の中で首も肩も縮こませた。
だけど、それ以上は拒めない。
「んっ……な、つ……」
夏芽さん自身から、忘れてしまったことを詰られ、今までも心を巣食っていた罪悪感が、いっそう強く深まった。
それが、されるがままに絡み合う舌から伝わったのか、彼の方からゆっくり唇を離す。
「……抵抗、しないね。俺を気遣って、憐れんでる?」
自嘲気味に持ち上がる口角を目の前で見て、私はこくっと喉を鳴らした。
「あ、憐れんでる、わけじゃ……」
だったら、拒めないのは、どういう気持ちからだろう――?
ドッドッと激しく乱れ打つ鼓動で、胸が苦しい。
「私、は。あなたの、恋人、になった……んですか」
夏芽さんは、ブルッと身を震わせた。
わずかに腕の力を緩め、美しいラインの顎を傾けて、私に顔を寄せてくる。
「っ……!」
息をのむ間もなく、やや乾いた唇が重ねられた。
尖らせた舌先がすぐに唇を割って入ってきて、呆気なく追い詰められる。
なにかがゾクゾクと背筋を駆け抜ける感覚に震え、私は彼の腕の中で首も肩も縮こませた。
だけど、それ以上は拒めない。
「んっ……な、つ……」
夏芽さん自身から、忘れてしまったことを詰られ、今までも心を巣食っていた罪悪感が、いっそう強く深まった。
それが、されるがままに絡み合う舌から伝わったのか、彼の方からゆっくり唇を離す。
「……抵抗、しないね。俺を気遣って、憐れんでる?」
自嘲気味に持ち上がる口角を目の前で見て、私はこくっと喉を鳴らした。
「あ、憐れんでる、わけじゃ……」
だったら、拒めないのは、どういう気持ちからだろう――?
ドッドッと激しく乱れ打つ鼓動で、胸が苦しい。
「私、は。あなたの、恋人、になった……んですか」