策士な御曹司は真摯に愛を乞う
それが私のためだなんて、嬉しくないわけがない。
心臓が、ドキドキと音を立てて加速し始める。
きゅうっと締めつけられる感覚と同時に、なにか込み上げるものを感じて、私は慌てて俯いた。
だけど。
「……ごめん。泣かせるつもりはなかったんだけど」
ズッと小さく洟を啜ってしまったせいで、泣きそうになったのを見破られてしまう。
「わ、私こそ、ごめんなさい!」
一人で勝手に感極まって、夏芽さんに謝らせてしまうなんて、なんとも言えず恥ずかしい。
慌てて顔を背けて、ランチの入った紙袋の下に置いたバッグから、ハンカチを取り出した。
それを顔に当てて、グスッと鼻が鳴るのを隠し、こくっと唾を飲んだ。
少し乱れた呼吸を整えようと、「はーっ」と深い息を吐き出す。
「……美雨」
私が落ち着くのを見計らったのか、夏芽さんがやや硬い声で私を呼んだ。
「昨夜、言った。ここから改めて俺を好きになって、っていうのは、そういうこと」
「……え?」
聞き返した声は、鼻と口を覆ったハンカチでくぐもる。
「本当に、俺の家のことはなにも心配もいらないんだ。だから、鏑木夏芽という名を持つだけの、一人の男の気持ちに応えてほしい。俺もそういうつもりで、君を愛してる」
ゆっくりと、噛み含めるような言葉が、私の胸に熱く浸透していく。
心臓が、ドキドキと音を立てて加速し始める。
きゅうっと締めつけられる感覚と同時に、なにか込み上げるものを感じて、私は慌てて俯いた。
だけど。
「……ごめん。泣かせるつもりはなかったんだけど」
ズッと小さく洟を啜ってしまったせいで、泣きそうになったのを見破られてしまう。
「わ、私こそ、ごめんなさい!」
一人で勝手に感極まって、夏芽さんに謝らせてしまうなんて、なんとも言えず恥ずかしい。
慌てて顔を背けて、ランチの入った紙袋の下に置いたバッグから、ハンカチを取り出した。
それを顔に当てて、グスッと鼻が鳴るのを隠し、こくっと唾を飲んだ。
少し乱れた呼吸を整えようと、「はーっ」と深い息を吐き出す。
「……美雨」
私が落ち着くのを見計らったのか、夏芽さんがやや硬い声で私を呼んだ。
「昨夜、言った。ここから改めて俺を好きになって、っていうのは、そういうこと」
「……え?」
聞き返した声は、鼻と口を覆ったハンカチでくぐもる。
「本当に、俺の家のことはなにも心配もいらないんだ。だから、鏑木夏芽という名を持つだけの、一人の男の気持ちに応えてほしい。俺もそういうつもりで、君を愛してる」
ゆっくりと、噛み含めるような言葉が、私の胸に熱く浸透していく。