策士な御曹司は真摯に愛を乞う
きっと夏芽さんもここを通るだろうし、私はエントランスで待つことにした。
往来の邪魔にならないように、隅に寄っていようとして、エントランスの片隅にミーティングスポットを見つけた。
位置的にも、セキュリティゲートを眺めることができる。
夏芽さんが出てきたらすぐにわかるし、ソファに座って待っていよう。
そう決めて、そちらに向かって足を踏み出した。
その時。
「多香子!」
背後から鋭い声が耳に届き、私はビクッと肩を震わせた。
「……え?」
私が呼ばれたわけじゃない。
でも、それが夏芽さんの声だったし、彼が呼びかけた名前にもギクッとして、そっと振り返ってしまう。
行き交う人たちの向こうに、私は彼を見つけた。
彼が向かう方向を目で追うと、多香子さんがヒールを鳴らして歩いていくのも見える。
夏芽さんは、大きな歩幅でツカツカと歩いて追いつき、彼女の肩を掴んだ。
足を止められる格好になった多香子さんが、彼を振り向いている。
その様を見て、私の心臓が何故かドクッと音を立てて沸き立った。
病院のサンルームや、この間のうちのビルの時と同じ、やっぱり不穏な空気を感じるから、二人がやり取りするのがどうしても気になる。
往来の邪魔にならないように、隅に寄っていようとして、エントランスの片隅にミーティングスポットを見つけた。
位置的にも、セキュリティゲートを眺めることができる。
夏芽さんが出てきたらすぐにわかるし、ソファに座って待っていよう。
そう決めて、そちらに向かって足を踏み出した。
その時。
「多香子!」
背後から鋭い声が耳に届き、私はビクッと肩を震わせた。
「……え?」
私が呼ばれたわけじゃない。
でも、それが夏芽さんの声だったし、彼が呼びかけた名前にもギクッとして、そっと振り返ってしまう。
行き交う人たちの向こうに、私は彼を見つけた。
彼が向かう方向を目で追うと、多香子さんがヒールを鳴らして歩いていくのも見える。
夏芽さんは、大きな歩幅でツカツカと歩いて追いつき、彼女の肩を掴んだ。
足を止められる格好になった多香子さんが、彼を振り向いている。
その様を見て、私の心臓が何故かドクッと音を立てて沸き立った。
病院のサンルームや、この間のうちのビルの時と同じ、やっぱり不穏な空気を感じるから、二人がやり取りするのがどうしても気になる。