策士な御曹司は真摯に愛を乞う
子会社の役員応接室に場所を移して、リモートワーク……と簡単に言うけど、それで仕事が回るんだろうか、と思っていた。
鏑木さんは、鏑木ホールディングスの副社長だ。
副社長というのは、トップである社長と、それ以外の取締役のパイプライン的役職。
自分の会社を見ていても、多分一番仕事量が多く多忙な職位だと、私は常々思っている。
きっと、親会社でも役割は同じ。
本社にある多数の部署や、専務、常務から挙がる企画書、起案書、決裁書類は、恐らく、ほぼ全部副社長に集中するはず。
そのすべてに厳しく丁寧に目を通し、社長に通すか棄却して差し戻すか……判断するのは鏑木さんだ。
副社長は、社内の全事案を掌握する。
企業の業績も収益も、副社長の腕にかかっていると言っていい。
その副社長が、会社を不在にして大大夫なんだろうか……?
私がそう訊ねると、鏑木さんは特段表情も変えず、説明してくれた。
「社内では、決裁書類はすべて電子申請を採用している。目を通すべき書類の八割は、パソコン一台あれば対応できる。外部との契約書や申請書はそういかないけど、毎日午前中、秘書にデリバリーさせることにした」
なんでもないようにさらりと言われると、そういうものかと思える。
鏑木さんは、鏑木ホールディングスの副社長だ。
副社長というのは、トップである社長と、それ以外の取締役のパイプライン的役職。
自分の会社を見ていても、多分一番仕事量が多く多忙な職位だと、私は常々思っている。
きっと、親会社でも役割は同じ。
本社にある多数の部署や、専務、常務から挙がる企画書、起案書、決裁書類は、恐らく、ほぼ全部副社長に集中するはず。
そのすべてに厳しく丁寧に目を通し、社長に通すか棄却して差し戻すか……判断するのは鏑木さんだ。
副社長は、社内の全事案を掌握する。
企業の業績も収益も、副社長の腕にかかっていると言っていい。
その副社長が、会社を不在にして大大夫なんだろうか……?
私がそう訊ねると、鏑木さんは特段表情も変えず、説明してくれた。
「社内では、決裁書類はすべて電子申請を採用している。目を通すべき書類の八割は、パソコン一台あれば対応できる。外部との契約書や申請書はそういかないけど、毎日午前中、秘書にデリバリーさせることにした」
なんでもないようにさらりと言われると、そういうものかと思える。